NIHO KAMAKURA / 2026.8.16

思い入れのある
写真を撮ろう!

一眼で「なんか良い写真にならない」を抜け出す、
いちばん最初の2時間。

高浜 拓也(NIHOスタッフ / @takuyatakahama)

今日のながれ

2時間、こんな感じで

1 | 考え方

写真って何を撮るもの?
ここがいちばん大事

15分

2 | 構図

何を入れて、何を入れないか
+定番の型

20分

3 | 仕組み

F値・SS・ISO
マニュアルで撮る手順

25分

4 | 実践+現像

室内・屋外で撮る
レタッチ実演

50分

わからないところは、いつでも途中で止めてください ☀

CHAPTER 1

いちばん大事なこと

テクニックの前に、これだけは。

写真とは何か

感動を、
写し現すもの。

目の前の景色をそのまま記録する装置じゃない。
「わ、いいな」と心が動いた、その一瞬を、
あとから誰かに手渡せる形にする道具です。

だから最初の問いは「どう撮るか」じゃなく
「私は今、何に感動した?」

石垣のすきまに咲いてた花。f/3.2 · 1/2000 · ISO250 · 12mm
構図の技術じゃなく「こんなところに咲いてるのか」に感動したから撮った1枚。
先人のことば

“ You don't take a photograph,
you make it. ”

写真は「撮る」ものではなく「作る」もの
— アンセル・アダムス(写真家)

シャッターを押した時点で写真は完成しない。
何を見て、何を選び、どう仕上げるかまで含めて写真。

結論

写真は「メッセージ」

① 感動する

光がきれい。子どもの表情。この空気感。
まず心が動く

② 何に、を言葉にする

「逆光の透け感」「この手の小ささ」
主役を1つに絞る

③ それだけを撮る

構図もF値も、全部②のための手段
技術は後からついてくる

「なんか良い写真にならない」の正体は、たいてい②が決まっていないこと。

作例|何気ない日常でいい

「感動」は、大げさじゃなくていい

アスファルトの割れ目の草 f/3.2 · ISO800
フェンスの新芽 f/3.2 · ISO640
光を透かす葉 f/3.2 · ISO320

特別な場所に行かなくていい。「あ」と思ったらカメラを構える — その回数がそのまま上達です。

CHAPTER 2

画角と構図

写真は「足し算」じゃなく 引き算

最重要スキル

何を入れて
何を入れないか

うまくいかない写真の原因、9割はこれ。

  • 余計なものが写り込んでいる
    生活感、電線、看板、通行人、散らかった机
  • 強弱がない
    全部同じくらいの大きさ・明るさ・ピントで並んでいる

画面のなかで 主役だけが目立っている 状態を作る。
= 見た人の目が、迷わず主役に着地する。

ぜんぶ入れると
情報が多くて、どこを見ればいいか迷う
引き算すると
同じ場所。切り取るだけで主役が立つ
引き算の3つの武器

主役を立てる、具体的な方法

① 寄る

「もう1歩前へ」。
初心者の写真は、たいてい引きすぎ
迷ったら近づく/望遠で寄る。

② どかす・回り込む

映したくない物はどかす
どかせないなら自分が動く
1歩横、しゃがむ、背伸びする。

③ ボカす

消せないものはボカして情報量を落とす。
主役だけがシャキッとしていれば勝ち。

構図に悩んだら、まず この3つを順番に試す だけでかなり変わります。

③ ボカす

ボケは「距離」で作る

F値を開けるだけがボケじゃありません。
効くのは大きく分けて4つ。

  • 被写体に近づく(いちばん効果が大きい)
  • 背景を遠ざける(壁を背負わせない)
  • F値を開ける(数字を小さく)
  • 焦点距離を長く(望遠側にズーム)

裏ワザ:前ボケ
レンズのすぐ手前に葉っぱ・花・小物を入れると、 画面に奥行きと「その場にいる感」が一気に出ます。NIHOの室内写真でよく使う手です。

作例|前ボケ

手前に「何か」を入れる

手前の枝葉ごしに f/1.4 · 1/160 · ISO100
花を手前に置いて f/1.4 · 1/800 · ISO100
戸口を「額縁」に f/2.5 · 1/800 · ISO100

同じ部屋でも、手前に一枚レイヤーを挟むだけで写真が急に立体的になります。

構図の型

人が「整っている」と感じる並び

型はお守り。ゼロから考えるのは大変なので、迷ったらどれかに当てはめる。慣れたら崩してOK。

型① 三分割法

主役を「線の上」か「交点」に

水平線を下1/3のラインに。空を主役にした画面 f/7.1 · 1/2000 · ISO200

画面を縦横3分割し、その線や交点に主役を置く

  • まん中に置くより、視線が自然に流れる
  • 水平線・地平線は、上1/3 か 下1/3 に
  • 人物は目線の先に空間を空ける

カメラの設定でグリッド線を表示できます。
今日いちばんおすすめの設定変更です。

型② 日の丸構図

まん中はダメ、じゃない

「日の丸はNG」とよく言われますが、
主役が明確で、背景が整理されていれば最強です。

  • 被写体が1つに決まっているとき
  • 背景をボカせるとき
  • 「これを見て!」と言い切りたいとき

ダメなのは「なんとなく真ん中」。
意図して真ん中なら、いちばん強い構図。

背景を思い切りボカせば、まん中でも成立する f/3.5 · 1/2000 · ISO640
型③ 導線・対角線

線で、視線を連れていく

道・横断歩道・電線が奥へ視線を運ぶ f/7.1 · 1/2000 · ISO640

道・線路・手すり・塀・電線…画面の中の「線」は、見る人の目を勝手に動かします。

  • 線の行き先に主役を置く
  • 斜めの線は、水平・垂直より動きが出る
  • 鎌倉の路地・階段・海岸線はこれの宝庫
型④ 額縁・反復

囲む/繰り返す

反復:同じ形が並ぶと、それだけで気持ちいい f/2.5 · 1/320 · ISO320
面で埋める:背景を作らず、質感だけで見せる f/3.2 · 1/500 · ISO400

額縁= 窓・戸口・木の枝で主役を囲む。  反復= 同じ形・色のリズムを見つける。

縦か、横か

意外と見落とされる選択

:主役に集中させる。人物・料理・花。SNSでも強い f/1.4 · 1/500 · ISO400
:関係性・広がりを見せる。場の空気を伝える f/2.5 · 1/320 · ISO320

1つの被写体に対して縦でも横でも撮っておくと、後から選べます。

CHAPTER 3

カメラの仕組み

F値・シャッタースピード・ISO。
ここを握ると、一気に自分の写真になる。

まずは提案

マニュアル(M)で
撮ってみてほしい

オートは「カメラが決めた無難な正解」。
でも、あなたが感動したポイントはカメラには分からない

  • 暗く沈ませたいのに、勝手に明るくされる
  • ボカしたいのに、勝手に絞られる
  • 同じ場所で撮るたび明るさが変わる

3つの数字を自分で決められると、
写真が「思ったとおり」になる。これがいちばん楽しい。

※ 最初は絞り優先(A / Av)+ 露出補正でもOK。今日はMで一度やってみましょう。

仕組み

写真=「光の量」を決めるだけ

センサーに ちょうどいい量の光 を届ける。
その蛇口が3つある、というだけの話です。

① F値(絞り)

どこまでピントを合わせるか

数字が小さい=大きく開く= 明るい・よくボケる
数字が大きい=絞る= 暗い・広くピントが合う

初心者はまず「開け気味」から

F1.4〜F2.8 あたり。背景が溶けて、
ふつうのスマホ写真と一番差が出るところです。

ただし開けすぎ注意:

  • 明るすぎて白飛びする
  • 2人並んだら片方がボケる(集合写真は要注意)
  • ピントがシビアでまつ毛には合うが目には外す

→ 人が複数いるなら F4 前後、集合写真は F5.6〜8。

作例|F値の使い分け

同じ「室内」でも、目的が違えば設定も違う

開ける
主役を1人に絞りたい写真 f/1.4 · 1/800 · ISO100
背景は溶かして、その人の空気だけを残す
絞る
部屋全体を見せたい写真(物件撮影) f/8 · 1/640 · ISO5000
手前から奥まで均等にくっきり=情報を正確に伝える

F値は「良し悪し」じゃなく目的の宣言。「主役を作る」のか「全部見せる」のか。

② シャッタースピード(SS)

時間を、どれだけ切り取るか

手ブレの目安

1/(焦点距離)秒より速く。
50mmなら 1/50 以上、望遠ほど速く。
手ブレ補正があれば少し粘れます。

被写体ブレ

止まってる人 … 1/60〜
動く人・子ども … 1/250〜
走る・スポーツ … 1/1000〜

あえて遅く

滝・川・光跡は 1/15 以下+三脚。
「ブレ」も表現になります。

③ ISO感度

光を「増幅」する。最後の調整役

センサーが光を感じる強さ。
上げれば暗い場所でも撮れる。でもノイズが乗る。

  • 基本は低いほどキレイ(100〜400が理想)
  • 室内・夕方なら 800〜3200 は普通に使う
  • 3000前後までに収めるのが実用ライン
  • それ以上は「ノイズ入っても撮れた方がマシ」の判断

大事な感覚: ブレた写真は救えないが、ノイズは後から減らせる。
迷ったらISOを上げてでもSSを稼ぐ。

ISO12800 そのまま
ざらつき・色ムラが出る(等倍)
ノイズ除去後
現像ソフトのAIノイズ除去で十分実用に
実践

マニュアルで撮る手順

F値 → SS → ISO の順。
「作品の意図」が決まる順番に並んでいます。最後の明るさ合わせがISOと露出補正。

お守り

迷ったら、この設定

室内・人物

f/2.0
1/125
ISO オート上限3200

窓際に立ってもらうのが最強。
照明より窓の光。

室内・集合

f/5.6
1/125
ISO 1600〜3200

全員にピントを。
横一列に並んでもらう。

屋外・スナップ

f/4.0
1/500
ISO 200

すぐ撮れる構え。
子ども・動きものにも対応。

屋外・風景

f/8.0
1/500
ISO 100

手前から奥までシャキッと。
由比ヶ浜はこれ。

まずここから始めて、1枚撮る → 背面モニターで確認 → 1段ずらす。これを繰り返すのが上達の近道。

CHAPTER 4 / レンズ

キットレンズのままで、いいの?

キットズーム
例:12-60mm F3.5-5.6

画角を変えられて万能。旅行や記録に最適。
ただしF値が暗く、大きくはボケにくい
→ まずはこれで「寄る/引く」の感覚を掴む。

明るい単焦点
例:35mm / 50mm F1.8

ズームできない代わりに圧倒的に明るい
よくボケて、暗所に強い。しかも安い(2〜4万円台)。
次に買う1本はこれ一択。

望遠ズーム
例:70-200mm

遠くを撮るためだけじゃなく、背景を圧縮して整理できる。
運動会・発表会・ポートレートに。
→ 必要になってからでOK。

「ズームできない」は不便じゃなく、自分が動く=構図を考えるようになる訓練です。

焦点距離の感覚

同じ場所でも、mm数で世界が変わる

広角 16mm:空気ごと入れる。手前が誇張されて奥行きが出る f/3.0 · ISO200
標準 35mm:人の目に近い自然さ。場の関係性を撮るのに強い f/2.5 · ISO500
中望遠 50mm:背景が整理され、主役が浮き上がる f/1.4 · ISO160

広角ほど「その場にいる感」、望遠ほど「主役に集中」。どっちを伝えたいかで選ぶ。

CHAPTER 5

レタッチ(現像)

「盛る」んじゃない。
感動したときに見えていた景色に、戻す作業。

なぜレタッチするのか

カメラは、人の目より
ずっと不器用

目で見たときは、明るい窓も暗い部屋も両方見えていた
でも写真にすると、窓は真っ白、部屋は真っ黒。

レタッチは、その差を埋めて
「自分が感動した瞬間の見え方」に近づける作業です。

JPEGじゃなく RAW で撮る

JPEG=カメラが仕上げて情報を捨てた後の画像。
RAW=センサーが受けた情報を全部持ったままのデータ。
白飛び・黒つぶれ・色かぶりの復元力が段違いです。
(ソフト:Lightroom / Adobe Camera Raw / 無料なら Darktable・メーカー純正)

BEFORE
霞んで、眠い印象
AFTER
S字カーブ+彩度だけ。数分で変わる
レタッチの心臓部

トーンカーブって何?

横軸=元の明るさ/縦軸=仕上がりの明るさ
「この明るさの部分を、どれくらいの明るさにするか」を描いた地図です。

  • 持ち上げる(線を上へ)→ 明るくなる
  • 下げる(線を下へ)→ 暗くなる
  • 傾きを急に → コントラストが上がる
  • 傾きをゆるく → 眠く・やわらかくなる

まず覚えるのは2つだけ
S字カーブ… 暗部を下げ明部を上げる。写真がパキッと締まる。
フィルム風(かすみ)… 左下の端を少し持ち上げる。黒が浮いてエモくなる。

現像の手順

この順番でいじると迷わない

  1. 切り抜き・水平出し
    まず引き算。傾きを直すだけで写真は締まる
  2. ホワイトバランス
    色の土台。暖かく/涼しく、まず全体の空気を決める
  3. 露出
    写真全体の明るさ
  4. ハイライト↓/シャドウ↑
    白飛び・黒つぶれを救う。ここで情報を取り戻す
  5. トーンカーブ
    S字で締める。ここが仕上がりの印象を決める
  6. 彩度・自然な彩度
    上げすぎ注意。自然な彩度を少しが上品
  7. 部分補正
    主役だけ明るく、背景だけ暗く。視線誘導の仕上げ
  8. ノイズ除去・シャープ
    いちばん最後。ここでやりすぎない

迷子になったら 「私は何に感動したんだっけ?」 に戻る。
それが強調されていれば正解、埋もれていれば直す。

やりすぎ注意

レタッチの「あるある失敗」

彩度モリモリ

最初は気持ちいいけど、翌日見ると毒々しい。
「少し足りない」くらいが上品

シャドウ全開

暗部を持ち上げすぎると、平坦でモヤっとした絵に。
暗いところは暗くていい

シャープかけすぎ

輪郭が不自然に光る。
等倍で確認して控えめに

コツ:調整したら一度画面から離れる。 目がリセットされてから見ると、やりすぎに気づけます。

CHAPTER 6

撮ってみましょう

聞くだけだと、絶対に身につかないので。

実践メニュー

この2つ、やってみます

① 室内(NIHO の中で)

  • 窓際の光で、人か物を1つ撮る
  • F値を F1.8 → F8 まで変えて撮り比べ
  • 同じ被写体を 寄って/引いて 2枚
  • 手前に何か入れて前ボケを作る

② 屋外(すぐ外の路地へ)

  • 「あ」と思ったものを10枚撮る
  • うち1枚は 三分割 を意識して
  • うち1枚は 線(道・塀) を使って
  • 足元・影・草。被写体は探さなくても足元にある

戻ってきたら、みんなの写真をその場でレタッチ実演します。
「これどうやって撮ったの?」を言い合うのがいちばん勉強になります。

持ち帰ってほしいこと

シャッターを押す前の、3つの問い

1

何に感動した?

光?表情?色?形?
言葉にできたら、もう半分成功。

2

余計なものは何?

どかす・回り込む・寄る・ボカす。
引き算してから押す。

3

どう見せたい?

主役を立てる → 開ける
全部見せる → 絞る

技術は、この3つを実現するための道具にすぎません。
まず「あ」と思うこと。カメラはそれを残すための相棒です。

ありがとうございました

いい写真を、
撮りにいきましょう ☀

今日撮った写真、ぜひシェアしてください。
質問はいつでも @takuyatakahama まで。

NIHO Kamakura / 2026.8.16

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